交通事故のあと、体のどこかに痛みが出ている。ただ、痛む場所がひとつとは限らない。そんな状態で困っていませんか。
交通事故の症状を扱う記事は、首・腰・肩というように部位ごとに分かれていることが多いと思います。ただ、当院で実際に拝見してきた方々は、そのどれかひとつに当てはまる方ばかりではありませんでした。
この記事では、深谷市で交通事故のケアを行ってきた立場から、症状の全体像をお伝えします。
■ 交通事故のあと、どこが痛みますか
事故のあとに出る症状としてよく挙がるのは、首の痛み、腰の痛み、背中の張り、肩の痛み、頭痛、めまい、だるさといったものです。
これらは別々の症状のように見えますが、ひとりの方が同時に複数を抱えていることがあります。
■ 1か所だけという方は、ほとんどいません
当院の交通事故の記録をあらためて見直してみました。
交通事故で来院された記録は15件。主訴に書かれている部位を数えていくと、痛めた場所が1か所だけという記録はごくわずかで、多くの方が2か所から4か所を同時に痛めておられました。
15件という数は統計と呼べる規模ではありません。ただ、少なくとも当院で拝見してきた範囲では、「首だけ」「腰だけ」という方はほとんどいらっしゃいませんでした。
考えられるのは、事故のときに体全体が一度に揺さぶられるということです。特定の1か所だけに力がかかるという状況のほうが、むしろ考えにくいのかもしれません。
■ 部位ごとに見ていく前に知っておきたいこと
部位別の情報を読むときに、ひとつだけ気をつけていただきたいことがあります。
それは、自分に当てはまる項目を「ひとつだけ」選ばないことです。
首の項目を読んで納得すると、そこで読むのをやめてしまいがちです。ただ実際には、腰や膝の項目も同時に当てはまっている可能性があります。
■ 実際にあった例:首・腰・膝の3か所を痛めた50代の方
深谷市にお住まいの50代の男性で、バイクを運転中に他のバイクと衝突する事故に遭われた方です。
整形外科でレントゲン検査を受け、左膝と首の2か所の負傷と診断されました。当院では首・腰・左膝の痛みを確認しています。
この方は「早く普通の生活に戻りたい」というお気持ちが強く、毎日通っていただきました。月に1〜2回は整形外科を受診しながら、それ以外の日は当院に通うという形です。
3か所が同時に痛むと、ご本人もどこを一番に伝えるべきか迷われます。当院では、その日の状態を確認しながら優先順位をつけて進めていきました。
■ 実際にあった例:上半身から膝まで痛めた60代の方
深谷市にお住まいの60代の女性の方です。交差点を直進していたところ、左側方から車と接触し、緊急搬送されました。
レントゲンとMRIの検査を受け、右前胸部の打撲・右肩部の打撲・右膝の打撲と診断されています。当院では首・両肩・前胸部・右肩部・右膝の痛みを確認しました。
上半身から膝まで、広い範囲に症状が出ていた方です。ご本人が困っておられたのは、家事が思うようにできないという点でした。
部位ごとの記事を読んでいくと、この方は首の記事も、肩の記事も、膝の記事も、そのすべてに当てはまることになります。
■ 部位別に見た、事故のあとの症状
| 部位 | よくある訴え | あわせて確認したいこと |
| 首 | 回しづらい・重い・頭痛を伴う | 肩や背中の張り |
| 背中・肩 | 肩甲骨の間が重い・腕が上げにくい | 胸の前側の痛み |
| 腰 | 座位でつらい・朝がつらい | 脚のしびれの有無 |
| 腕・肘 | 物を持つと痛む・ぶつけた覚えがない | 首の動きの制限 |
| 膝 | ダッシュボードにぶつけた・曲げ伸ばしで痛む | 腰や股関節の状態 |
なお、しびれ、力の入りにくさ、息苦しさといった症状がある場合は、自己判断で様子を見ずに、まず医療機関にご相談ください。
■ 後から出てくる症状があること
事故の直後は気が張っていて、痛みに気づきにくいことがあります。
「当日は平気だったのに、翌日から首が回らなくなった」「1週間たってから腰が痛くなった」というお話は珍しくありません。
後から出てきた症状も、事故との関係を確認していただく必要があります。時間がたつほど確認しづらくなることがありますので、気づいた時点で早めに医療機関にお伝えください。
■ 初診で全部伝えることが大切な理由
交通事故では、初診の段階で痛む部位を漏れなく伝えておくことが大切だとされています。
あとから「実はここも痛かった」と申し出ると、事故との関係が確認しづらくなることがあるためです。
前述の50代の方も、整形外科では首と膝の2か所と診断されましたが、当院では腰の痛みも確認しています。ご本人が最初にすべてを伝えていたからこそ、腰も含めて経過を追うことができました。
「これくらいなら言わなくていいかな」と思う程度のものでも、まず伝えておいてください。
交通事故の治療全体の流れについては、こちらでも整理しています。
交通事故のむち打ち、症状と回復の基本|深谷市の接骨院が自律神経症状から解説
https://taiyo-fukaya.com/blog/whiplash-recovery-basics/
■ 症状の数が多いと、どこから手をつけるか迷います
痛む場所が3か所も4か所もあると、ご本人も「どこから治せばいいのか」と迷われます。
当院では、その日の状態を見ながら順番を決めていきます。一度にすべてを扱おうとすると、体への負担が大きくなることがあるためです。
順番を決める目安として見ているのは、日常生活に一番影響している場所、動きの制限が大きい場所、そして炎症が強く残っている場所です。
前述の60代の方の場合、家事ができないという困りごとがはっきりしていましたので、腕を上げる動作に関わる部分から確認していきました。
「一番痛いところ」と「一番困っているところ」は、必ずしも同じではありません。どちらもお聞かせいただけると、順番を決めやすくなります。
■ 当院が事故後のケアで行っていること
当院では、痛むと言われた場所だけを見るのではなく、そのつながりの中で全体を確認していきます。
事故の直後で炎症が強い時期は、強い刺激を避けて負担を減らすことを優先します。落ち着いてきてからは、動きの制限が残っている部分を整えていきます。
複数の場所が痛む場合は、その日ごとに優先順位をつけながら進めていきます。
病院で「異常なし」と言われた後の進め方については、こちらでも整理しています。
交通事故後、病院で「異常なし」と言われても痛みが続く方へ|深谷市の接骨院が伝える治療終了後の選択肢
https://taiyo-fukaya.com/blog/traffic-accident-after-hospital/
■ 自宅で気をつけたいこと
・痛む場所が複数ある場合は、どこがどのタイミングでつらいかを書き留めておいてください
・痛みが強い時期に、無理に動かして確かめることは避けてください
・後から出てきた症状も、必ず医療機関にお伝えください
・痛む場所を強く揉むことは、時期によってはおすすめしません
・しびれや力の入りにくさがある場合は、早めに医療機関にご相談ください
■ よくある質問
Q. 痛む場所がいくつもあります。全部伝えていいですか。
A. 全部お伝えください。あとから申し出ると事故との関係が確認しづらくなることがあります。
Q. 事故の当日は平気でした。今からでも受診したほうがいいですか。
A. 後から症状が出ることは珍しくありません。早めに医療機関にご相談ください。
Q. 一番痛いところだけ治療してもらえばいいですか。
A. 当院では全体を確認しています。かばう動きで別の場所に負担が移ることがあるためです。
Q. 病院と接骨院は、両方通ってもいいですか。
A. 併用されている方は多くいらっしゃいます。併診できる医療機関をご紹介することもあります。
Q. どのくらいの期間かかりますか。
A. 症状の程度や部位の数によって変わります。初回に状態を見てご説明します。
Q. 交通事故の施術に費用はかかりますか。
A. 自賠責保険の対象となる場合があります。詳しくは初回にご案内します。
■ まとめ:体は一度にまとめて揺さぶられる
事故のあとの症状は、部位ごとにきれいに分かれてはいません。当院の記録でも、ほとんどの方が複数の場所を同時に痛めておられました。
部位別の情報は整理のために役立ちますが、そこに自分を当てはめるときは、ひとつだけ選ばないでください。
まずは医療機関で状態を確認していただき、そのうえで気になることがあれば、当院にもお気軽にご相談ください。
深谷市で交通事故後の症状にお悩みの方は、深谷たいよう接骨院・整体院のLINEからお気軽にご相談ください。
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【著者情報】
田島 陽平(たじま ようへい)/治療家・株式会社キュアクオリティ代表。柔道整復師として20年以上の臨床経験を持つ。整形外科・接骨院勤務を経て独立し、埼玉県深谷市・熊谷市で2院を経営。カイロプラクティック歴15年以上・オステオパシーを組み合わせた独自の施術スタイルで、坐骨神経痛・腰痛・肩こりなど慢性症状でお悩みの方のサポートを行っている。現在は国際基準のフランス式オステオパシーを学んでいる。
参考文献(PubMedで実在と内容を確認しています)
・Whiplash injury is more than neck pain: a population-based study of pain localization after traffic injury(交通事故後の痛みの部位を調べた住民ベースの研究。首だけに痛みがあったと答えた方は0.4%にとどまったと報告されています)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20357684/
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断を行うものではありません。症状が重い場合や長期間続く場合は、医療機関へのご相談をお勧めします。


