交通事故のあと、むちうちと言われた。自宅で何かできることはないか。ストレッチをしたほうがいいのか。
そう考えて調べておられませんか。
ただ、事故の直後については、やることを増やすよりも先に、やらないほうがいいことを知っていただくほうが大切だと考えています。
この記事では、深谷市で交通事故のケアを行ってきた立場から、自宅での過ごし方をお伝えします。
■ むちうちのとき、自宅でどう過ごすか
「安静にしていればいい」と言われることもあれば、「動かしたほうがいい」と言われることもあります。
どちらも間違いではありません。ただ、時期によって答えが変わります。
事故の直後と、落ち着いてきてからでは、体の中で起きていることが違うためです。同じことをしても、時期が違えば意味が変わります。
■ まず、やらないほうがいいこと
事故の直後に避けていただきたいことを、先にお伝えします。
ひとつは、痛みが出る方向に無理に動かして「どこまで動くか」を確かめることです。確かめるたびに負担がかかります。
もうひとつは、動画などで見たストレッチを、そのまま試すことです。同じむちうちでも、痛めた場所や動きの制限は人によって違います。合わない動きを繰り返すと、負担が増えることがあります。
そして、痛む場所を強く揉むことです。これについては次の項目で説明します。
■ 強く揉んではいけない時期がある
「凝っている感じがするから揉みたい」というお気持ちは自然なものです。
ただ、事故の直後は、痛めた部分に炎症が残っている時期があります。この時期に強い刺激を加えると、かえって反応が強く出ることがあると考えられています。
当院でも、この時期は強い刺激を避けて、負担を減らすことを優先しています。
「揉めば楽になる」というのは、慢性的な凝りに対しての感覚です。事故の直後は、それとは分けて考えていただく必要があります。
■ 温めるか冷やすかは時期で変わる
これもよくいただくご質問です。
一般的には、炎症が強く出ている時期は温めないほうがよいとされています。一方で、落ち着いてきてからは、温めることで動かしやすくなる方もいらっしゃいます。
つまり、どちらが正解かは時期によって変わります。
ご自身で判断が難しい場合は、初回のときにお聞かせください。今がどの時期かをお伝えしたうえで、ご自宅での対応をご案内しています。
交通事故のむち打ち全体の流れについては、こちらでも整理しています。
交通事故のむち打ち、症状と回復の基本|深谷市の接骨院が自律神経症状から解説
https://taiyo-fukaya.com/blog/whiplash-recovery-basics/
■ 実際にあった例:緊張と睡眠不足を伴った方
深谷市にお住まいで、デスクワークのお仕事をされている方です。
頚椎捻挫に加えて、背部打撲症・腰臀部打撲症・胸部打撲と、複数の部位を負傷されていました。そしてそれだけでなく、睡眠不足と身体の緊張という状態も伴っていました。
痛みがあると眠りが浅くなり、眠れないと体が休まらない。そして緊張が続くと、また痛みが気になる。こうした行き来が起こることがあります。
この方の場合、痛む場所への施術だけでなく、体の緊張をどう緩めるかという視点が必要でした。
自宅での過ごし方も、「何をするか」より「どう休むか」のほうが大切だった例です。
■ 実際にあった例:姿勢の癖が関わっていた20代の方
旅行先でレンタカーを運転していたところ、後方から追突された20代の女性の方です。
主な症状は腰部と首の痛み。お仕事終わりに毎日通っていただき、約4ヶ月にわたって施術を続けました。
この方の場合、もともと姿勢の癖がありました。そのため、事故のケアの一環として背骨の矯正も併せて行っています。
事故で痛めた部分だけを扱っても、その痛みが続きやすい土台が残っていれば、また同じところに負担がかかります。
自宅での姿勢は、その土台に直接関わる部分です。
■ 時期ごとの過ごし方の目安
| 時期 | 控えたいこと | できること |
| 事故の直後 | 強く揉む・可動域を確かめる | 楽な姿勢を探して休む |
| 初期を過ぎたころ | 自己流のストレッチ | 痛みの出る場面を書き留める |
| 落ち着いてきてから | 一気に元の生活へ戻すこと | 指導された範囲で動かす |
| 日常に戻る頃 | 痛む側だけに頼る動作 | 負担の分散を意識する |
| どの時期でも | 症状の変化を放置すること | 変化を記録して伝える |
なお、しびれや力の入りにくさがある場合は、自宅でのケアを考える前に、まず医療機関にご相談ください。
■ 痛みの記録を残しておくと役に立ちます
自宅でできることの中で、当院が一番おすすめしているのが「記録を残すこと」です。
難しいことは必要ありません。その日つらかった場面と、痛みの程度を一言書いておくだけで十分です。
前述のデスクワークの方の場合も、睡眠がとれた日ととれなかった日で体の状態が違うことが、記録から見えてきました。感覚だけでは、日ごとの波に埋もれて分からなくなります。
記録があると、次に来られたときに「先週と比べてどうか」を一緒に確認できます。そして、保険会社とのやり取りが必要になった場合にも、ご自身の状態を説明する材料になります。
痛みは目に見えないものですので、伝えるための材料はご自身で残しておいていただくのが確実です。
■ 眠れないときに考えたいこと
事故のあとに眠りが浅くなる方がいらっしゃいます。
痛みで寝返りが打ちにくいこと、事故そのものの緊張、これからのことへの不安。理由はひとつではありません。
眠れないことで体を回復させる時間が減り、そのぶん痛みが気になり、また眠れなくなる。前述の方のように、こうした行き来が起こることがあります。
寝る姿勢で痛みが変わる場合は、楽な向きを探してみてください。枕の高さが合わないと感じる場合も、初回にお聞かせください。
眠れない状態が続く場合は、当院で扱える範囲を超えることがありますので、医療機関へのご相談をおすすめしています。
■ 仕事に戻るタイミング
「いつから普通に働いていいか」というご質問もよくいただきます。
完全に痛みが消えるまで待てる方は、多くありません。多くの場合は、痛みが残った状態で仕事に戻ることになります。
そのときに大切なのが、どの動作で痛みが出るかを把握しておくことです。把握できていれば、その動作だけを避ける、回数を減らす、姿勢を変えるといった調整ができます。
「全部休む」か「全部やる」かの二択ではありません。
病院で「異常なし」と言われた後の進め方については、こちらでも整理しています。
交通事故後、病院で「異常なし」と言われても痛みが続く方へ|深谷市の接骨院が伝える治療終了後の選択肢
https://taiyo-fukaya.com/blog/traffic-accident-after-hospital/
■ 当院が自宅での過ごし方についてお伝えしていること
当院では、施術のときに「今はどの時期か」をお伝えするようにしています。
時期が分かれば、自宅で何を控えるかも決まります。逆に、時期を伝えずに「安静に」とだけ言われても、どこまで動いていいのか分からないと思います。
また、ご自宅でできることをお伝えする場合も、その方の状態に合わせた内容にしています。一般的なストレッチをそのままお渡しすることはしていません。
■ 自宅で気をつけたいこと
・痛みが出る方向に無理に動かして確かめないでください
・動画などで見たストレッチを、自己判断で試さないでください
・事故の直後に、痛む場所を強く揉まないでください
・温める・冷やすの判断に迷ったら、初回にお聞かせください
・しびれや力の入りにくさがある場合は、まず医療機関にご相談ください
■ よくある質問
Q. 自宅でできるストレッチを教えてもらえますか。
A. その方の状態に合わせてお伝えしています。一般的なものをそのままお渡しすることはしていません。
Q. 痛いところを揉んでもいいですか。
A. 事故の直後は避けてください。時期によって判断が変わりますので、初回にご相談ください。
Q. 温めたほうがいいですか、冷やしたほうがいいですか。
A. 時期によって変わります。今がどの時期かをお伝えしたうえでご案内しています。
Q. 安静にしていたほうがいいですか。
A. 事故の直後は負担を減らすことを優先します。落ち着いてきたら、動かしていく時期に入ります。
Q. 眠れないのですが、関係ありますか。
A. 眠りが浅いと体を休める時間が減ります。状態によっては医療機関へのご相談をおすすめしています。
Q. 交通事故の施術に費用はかかりますか。
A. 自賠責保険の対象となる場合があります。詳しくは初回にご案内します。
■ まとめ:迷ったら、動かさずに相談してください
自宅でできることを増やすより、まずは避けたほうがよいことを知っていただくほうが、事故の直後には役立ちます。
そして、今がどの時期かによって答えが変わります。判断に迷ったときは、無理に動かして確かめずに、一度ご相談ください。
まずは医療機関で状態を確認していただき、そのうえで気になることがあれば、当院にもお気軽にご相談ください。
▼この症状の専門ページ:交通事故治療について詳しくはこちら|深谷たいよう接骨院
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【著者情報】
田島 陽平(たじま ようへい)/治療家・株式会社キュアクオリティ代表。柔道整復師として20年以上の臨床経験を持つ。整形外科・接骨院勤務を経て独立し、埼玉県深谷市・熊谷市で2院を経営。カイロプラクティック歴15年以上・オステオパシーを組み合わせた独自の施術スタイルで、坐骨神経痛・腰痛・肩こりなど慢性症状でお悩みの方のサポートを行っている。現在は国際基準のフランス式オステオパシーを学んでいる。
参考文献(PubMedで実在と内容を確認しています)
・Self-Monitoring Practices and Use of Self-Monitoring Technologies by People with Rheumatic and Musculoskeletal Diseases: An International Survey Study(筋骨格系の不調をお持ちの方の自己記録についての国際調査。自分の状態を記録して把握することが、自己管理の重要な要素になると報告されています)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11476225/
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断を行うものではありません。症状が重い場合や長期間続く場合は、医療機関へのご相談をお勧めします。


