深谷市で「肋骨のあたりがピリッと痛む」「呼吸をすると胸が痛い」という肋間神経痛のご相談が増えています。骨折の経験がなくても起こることがあり、姿勢が関係しているケースも少なくありません。「内臓や心臓の病気ではないか」と不安になって受診される方も多い症状ですが、原因や見分け方を知っておくことで、必要以上に不安にならずに対応しやすくなります。
肋間神経痛とは?多くの方が抱える胸の痛みの正体
肋間神経痛は、肋骨に沿って走る神経が刺激を受けることで、胸や背中の一部にピリピリ、ズキッとした痛みが出る症状です。咳をしたとき、深く息を吸ったとき、体をねじったときに痛みが強くなるのが特徴です。
「内臓の病気では」と不安になって受診される方も多いのですが、実際には肋骨や胸椎(背骨の胸の部分)の動きが悪くなることで、神経の出口で圧迫を受けて起こっているケースが少なくありません。もちろん、痛みの背景に内臓の病気が隠れていることもあるため、強い痛みや長引く痛みがある場合は、まず医療機関で検査を受けていただくことをお勧めしています。当院では、医療機関での検査と並行して、身体の使い方や姿勢の面からサポートすることを大切にしています。
肋間神経痛と心臓・肺の病気との見分け方
胸の痛みというと、心臓や肺の病気を心配される方も多くいらっしゃいます。狭心症のような心臓由来の痛みは、胸の中央から圧迫されるような重い痛みが数分間続き、肩や顎、左腕に痛みが広がることがあるとされています。気胸のような肺由来の痛みは、突然の息苦しさや呼吸のたびに強くなる痛みを伴うことが多いと言われています。
これに対して肋間神経痛は、ピンポイントで「ここが痛い」と指で示せるような、肋骨に沿った帯状の痛みであることが多く、体をねじったり押したりしたときに痛みが再現されやすいという特徴があります。安静にしていても突然強い痛みが続く、冷や汗や息苦しさを伴う、痛みの範囲が左右に広がっていく、といった場合は、肋間神経痛ではない可能性も考えられるため、迷わず医療機関を受診してください。当院でも、施術の前に痛みの出方や経過を詳しくお聞きし、心配な所見があれば医療機関の受診を優先してお伝えするようにしています。
帯状疱疹との見分け方にも注意が必要です
胸や背中の痛みでもう一つ知っておいていただきたいのが、帯状疱疹です。帯状疱疹は、皮膚に赤い発疹や水ぶくれが出る数日前から、肋間神経痛とよく似たピリピリ・ズキズキとした痛みが先に出ることがあるとされています。痛みが出ている部位の皮膚に、その後発疹や水ぶくれが現れた場合は、帯状疱疹の可能性があるため、早めに皮膚科や内科を受診してください。帯状疱疹は治療開始のタイミングが大切な病気のため、「いつもの肋間神経痛だろう」と決めつけずに、皮膚の状態の変化にも注意を向けていただくことをお勧めしています。
肋間神経痛の原因-骨折がなくても起こる理由
肋骨を骨折した経験がない方でも肋間神経痛が起こることがあります。考えられる要因のひとつが、姿勢の崩れによる胸椎・肋骨の可動性の低下です。
デスクワークやスマートフォンの使用で前かがみの姿勢が続くと、背中が丸まり、胸椎や肋骨の動きが固くなっていきます。肋骨は呼吸のたびに少しずつ広がったり縮んだりしていますが、この動きが乏しくなると、肋骨の間を通る神経が圧迫を受けやすい状態になることがあると考えられています。
また、デスクワークによる前傾姿勢だけでなく、片側に荷物を持つ習慣やスポーツでの体の使い方の癖など、姿勢に左右差が出やすい生活習慣も一因として関係していることがあります。実際の臨床では、利き手側や荷物を持つ側など、普段から負担がかかりやすい側に症状が出やすい傾向があると感じています。ただし、これは絶対的な法則ではなく、反対側に痛みが出る方もいらっしゃるため、ご自身の生活習慣を振り返るきっかけの一つとして捉えていただければと思います。
肋骨と肋骨の間には肋間筋という呼吸を助ける筋肉があり、呼吸のたびにこの筋肉が収縮・弛緩を繰り返しています。猫背気味の姿勢が続くと胸郭が圧迫されたような状態になり、呼吸が浅くなりやすくなります。呼吸が浅くなると肋間筋が十分に動かなくなり、神経の周囲の血流も滞りやすくなることが、痛みやすさにつながっている可能性があります。
妊娠中の方からも、肋骨のあたりにピリピリとした痛みを感じるというご相談をいただくことがあります。お腹が大きくなるにつれて肋骨が押し上げられ、胸郭の形が変化することで、肋間神経が引き伸ばされたり圧迫されたりしやすくなるためと考えられています。妊娠中は施術内容を体調に合わせて調整する必要があるため、気になる症状がある場合は、まず産婦人科にご相談いただいたうえで、施術をご希望の場合はその旨をお伝えください。
当院の考え方とアプローチ
当院に来院された50代女性の方は、脳梗塞の後遺症による右足のしびれと、軽度の肋間神経痛を抱えて来院されました。脳梗塞の後遺症によるしびれは中枢性のもので、施術で大きく変えられる範囲ではないとお伝えしましたが、同時に出ていた肋間神経痛については、肋骨骨折などの既往がなく、姿勢の問題で神経の出口付近に圧迫を受けていたことが一因として考えられると判断しました。
検査の結果、胸椎の伸展方向の動きが乏しくなっており、肋骨の捻れの動きも左右で差が見られました。胸椎の矯正と肋骨の可動域改善を中心に、数回にわたって施術を行ったところ、胸郭全体の動きが改善していくにつれて肋間神経痛が和らいでいきました。現在はメンテナンスを続けながら、経過を確認している状態です。
「脳梗塞の後遺症そのものはなかなか回復が難しいのでお気の毒ではありますが、肋間神経痛の方はとりあえず良くなってよかったです」と、できることとできないことを分けてお伝えしたうえで、変化が出せた部分を一緒に喜べたことが印象に残っています。中枢性の症状と機能的な症状を分けて評価し、施術で対応できる範囲を誠実にお伝えすることを、当院では大切にしています。
このように、肋間神経痛は中枢性の症状とは異なり、姿勢由来の機能的な問題として変化が出やすいケースがあります。当院では、胸椎・肋骨・骨盤など身体全体のバランスを検査したうえで、アクティベーターという器具を使った、音が出ない優しい矯正で施術を行っています。
再発を防ぐための姿勢チェック
肋間神経痛が落ち着いた後も、もとの姿勢の崩れが残っていると、再び肋骨や胸椎の動きが乏しくなり、症状が戻ってくることがあります。再発を防ぐためには、日常生活の中で姿勢をチェックする習慣を持つことをお勧めしています。
椅子に座ったときに、肩が前に出て背中が丸まっていないか、壁に背中をつけて立ったときに後頭部・肩甲骨・お尻が無理なく壁につくかどうかを、時々確認してみてください。また、片側にカバンをかける習慣がある方は、左右で持ち方を変える、リュックタイプに切り替えるなど、身体への負担が偏らない工夫も再発予防の一つになります。
デスクワークの環境を見直すことも有効です。パソコンの画面が目線より低い位置にあると、自然と前かがみになりやすくなります。画面の上端が目線と同じ高さになるよう台で高さを調整したり、椅子に深く座って背もたれを使うようにしたりするだけでも、胸椎が丸まりにくい姿勢を保ちやすくなります。長時間同じ姿勢を続けないよう、1時間に1回は立ち上がって胸を伸ばす時間を作ることも、再発予防につながります。
肋間神経痛のセルフケアで気をつけたいこと
肋間神経痛がある時期は、無理に胸を大きくひねるストレッチや、強く押し込むようなマッサージは避けていただくことをお勧めしています。痛みが強い部位を直接押すと、かえって炎症が長引くことがあります。
セルフケアとしては、椅子に座った状態で両手を大きく広げ、胸を開くようにゆっくり深呼吸をする方法がおすすめです。1日数回、無理のない範囲で行うことで、胸郭(肋骨や胸椎周辺)の動きを保つ助けになります。痛みが強くなる場合は中止し、無理をしないようにしてください。
また、入浴時に肩までゆっくりお湯に浸かり、胸郭周辺を温めることも、筋肉の緊張をやわらげる助けになります。シャワーだけで済ませる習慣がある方は、痛みが落ち着いている時期に、湯船に浸かる時間を増やしてみるのも一つの方法です。
痛みが落ち着いている時期には、丸めたタオルを背中の下、肩甲骨の少し下あたりに置いて仰向けに寝転び、両手を頭の上に伸ばしてゆっくり胸を開くストレッチもおすすめです。1回1〜2分程度を目安に、痛みが出ない範囲で行ってください。デスクワークで丸まった胸椎を、ゆっくりと元の動きに近づけていく助けになります。痛みが強い急性期には行わず、症状が落ち着いてきてから取り入れるようにしてください。
よくある質問
肋間神経痛はどれくらいで良くなりますか。
姿勢由来のケースでは、胸郭の動きが改善していくにつれて症状が和らいでいくことが多いですが、期間は身体の状態によって個人差があります。当院では経過を見ながら施術を調整しています。
何科を受診すればいいですか。
強い痛みや長引く痛みがある場合は、まず内科や整形外科などの医療機関で検査を受けていただくことをお勧めしています。胸の痛みが強く心臓や肺の病気が心配な場合は、循環器内科や呼吸器内科を案内されることもあります。検査で大きな問題がないとわかった上で、姿勢の面からのサポートとして当院をご利用いただくことも可能です。
肋間神経痛と肩こりは関係がありますか。
胸椎や肋骨の動きの悪さは、肩こりの背景にある姿勢の崩れと共通する部分があります。両方の症状を同時に抱えている方も多く、気になる方は合わせてご相談ください。
肋間神経痛は左右どちらに出やすいのですか。
利き手側や荷物を持つ側など、普段から負担がかかりやすい側に出やすい傾向があると感じていますが、絶対的な法則ではなく、反対側に出る方もいらっしゃいます。
肋間神経痛は再発しますか。
姿勢の崩れが残っていると、再び肋骨や胸椎の動きが乏しくなり、再発することがあります。日頃の姿勢チェックとセルフケアを習慣にしていただくことをお勧めしています。
帯状疱疹との違いはどう見分ければいいですか。
痛みが出ている部位に発疹や水ぶくれが現れた場合は、帯状疱疹の可能性があります。皮膚の変化に気づいたら、早めに皮膚科や内科を受診してください。
施術ではどのようなことを行いますか。
胸椎・肋骨・骨盤など身体全体のバランスを検査し、アクティベーターという器具を使った、音が出ない優しい力での矯正を行います。強い圧迫や、音を立てて関節を鳴らすような施術ではないため、施術自体に痛みを感じる方は少ない傾向にあります。
通院の頻度はどれくらいが目安ですか。
症状の強さによって個人差がありますが、症状が強い時期は週1回程度、落ち着いてきたら2〜3週に1回程度のメンテナンスに切り替えていく方が多い印象です。経過を見ながら、お一人おひとりに合わせてご提案しています。
ここまでお読みいただきありがとうございます。肋間神経痛は痛みが続くと日常生活でも息苦しさを感じやすく、不安になりやすい症状です。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
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田島 陽平(たじま ようへい)/治療家・株式会社キュアクオリティ代表。柔道整復師として20年以上の臨床経験を持つ。整形外科・接骨院勤務を経て独立し、埼玉県深谷市・熊谷市で2院を経営。カイロプラクティック歴15年以上・オステオパシーを組み合わせた独自の施術スタイルで、坐骨神経痛・腰痛・肩こりなど慢性症状でお悩みの方のサポートを行っている。現在は国際基準のフランス式オステオパシーを学んでいる。
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参考文献
・肋間神経痛の医学解説(StatPearls・米国国立医学図書館)/肋間神経の走行と痛みの生じ方が解説されています
肋間神経痛の医学解説(NCBI)を読む
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断を行うものではありません。
症状が重い場合や長期間続く場合は、医療機関へのご相談をお勧めします。
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