「雨が降る前の日になると、頭が重くなる」「台風が近づくと、めまいがする」。そんな天気痛(気象病)のご相談を、深谷市の当院でも伺うことがあります。先に結論をお伝えすると、この不調は「気のせい」ではありません。そして、天気そのものは誰にも変えられません。当院が施術でできるのは、天気という引き金に負けやすくなっている「体の状態の側」を整えることだけです。この記事では、その線引きを隠さずにお話しします。
雨の前の不調は「気のせい」ではありません
「天気で体調が悪くなるなんて、気の持ちようでは」と言われて、つらい思いをしてきた方は少なくないと思います。
ですが、近年の研究では、気圧の変化を感じ取るセンサーの候補として「耳の奥(内耳)」が注目されています。動物を使った実験で、気圧を下げると、内耳からの情報を受け取る脳の領域(バランス感覚にかかわる神経核)の活動が高まったという報告があります(記事末尾の参考文献)。人でそのまま同じことが起きると断定はできませんが、少なくとも「気圧の変化を体が感じ取る仕組み」は、研究として真面目に調べられている領域です。
雨の前に不調が出るのは、あなたの気持ちが弱いからではありません。まずそこから、お伝えしたいと思います。
天気痛(気象病)とは
天気痛(気象病)とは、気圧・気温・湿度など天気の変化をきっかけに、頭痛・めまい・だるさ・古傷の痛みなどが現れたり強まったりする状態を指す呼び方です。
特に多いとされているのが、気圧が下がるとき、つまり雨や台風が近づくタイミングです。「雨が降ってから」ではなく「降る前の日」に不調が出る方が多いのも、気圧の低下が天気の崩れに先行するためと考えると筋が通ります。
天気の変化は、体にとって小さくないストレスです。そのストレスにどれだけ耐えられるかは、そのときの体の状態——首や背中の緊張、疲労、睡眠——によって変わると当院は考えています。同じ気圧の変化が来ても、平気な日とつらい日があるのは、引き金の側ではなく、受け止める体の側が変化しているからです。
当院に実際にあった記録——台風の接近と一緒に波が来ためまいと頭痛
当院に、長年の肩こりと、ふわふわするめまい、片頭痛(偏頭痛)でお悩みの50代の方が通われていました。
施術を重ねて、体の状態が少しずつ変わってきていた時期のことです。台風が近づいたタイミングで、落ち着いてきていためまいと片頭痛の波が、はっきりと出ました。ご本人の生活に大きな変化はなく、重なったのは天気だけ。当院はこの日の状態を記録し、「気圧の変化に反応しやすい体質かどうか」を、その後の施術で確かめていく材料にしました。
この記録から言えるのは、「天気の影響は、体の状態が良くなっていく途中でも波として現れることがある」ということです。だからこそ当院は、波が出た日を「悪化」と決めつけず、天気・生活・体の状態を並べて確かめるようにしています(経過には個人差があります)。
もうひとつ、当院の記録を横断して見えたことがあります。自律神経の乱れに関わるご相談の記録を横に並べると、「天気のせいだと思って来ました」という方は、ほとんどいません。皆さん「肩こり」「頭痛」「めまい」として来院され、お話を伺う中で初めて、天気との連動が見つかります。ご自身では気づきにくい、ということです。
当院の検査で確認していること——気圧は測れなくても、体の側は測れます
気圧の変化そのものを、施術で止めることはできません。ですが、体の側の状態は、検査で確認することができます。当院が確認しているのは、主に次の点です。
まず、背骨のカーブです。背骨は本来、緩やかなS字のカーブで頭の重さや衝撃を分散しているとされています。先ほどの50代の方も、本来のカーブが崩れた状態からのスタートでした。施術を続ける中で、検査のたびにカーブの見え方に変化が出始めたことを、確認しながら進めました。
次に、首の付け根と肋骨の動きです。首の上のほうの状態と頭痛には、神経のレベルでのつながりがあると考えられています。また、肋骨の動きが硬いと呼吸が浅くなりやすいとされ、体の緊張が抜けにくい状態につながることがあります。
天気は測れなくても、体は測れる。ここが、当院の施術の出発点です。
正直にお伝えしたいこと——天気は変えられません
はっきりお伝えします。当院は「天気痛が治ります」とは言いません。
気圧の変化という引き金は、これから先もなくなりません。梅雨も台風も毎年来ます。引き金そのものを消せない以上、「治る」と言い切るのは誠実ではないと当院は考えています。
当院がお手伝いできるのは、引き金に負けやすくなっている体の状態——首や背中の緊張、背骨のカーブの崩れ、肋骨の硬さ——を検査で確かめて、整えていくことです。「歪みを整えたから、それに比例して良くなる」というものでもありません。良くなるための素地をつくり、それを保っていく。そういう地道な取り組みです。
また、天気痛については、医療機関で処方される薬や漢方、気圧の変化を知らせる予報アプリなど、医療とセルフケアの選択肢もあります。当院はそれらを否定しません。体の側を整えることと、医療の選択肢は、並行してよいものだと考えています。
雨の前にできる工夫
セルフケアも「これで治る」というものではなく、体の緊張をやわらげる側の工夫として紹介します。
ひとつは、耳まわりを軽く動かす・温めることです。耳を軽くつまんで上下や横にゆっくり引く、耳の後ろを蒸しタオルで温める。気圧の変化を感じるとされる耳の周囲の血流を保つ工夫として、一般に紹介されている方法です。
もうひとつは、雨の前の日の過ごし方です。睡眠を削らない、長時間同じ姿勢を続けない、軽く体を動かす。天気の崩れが分かっている日ほど、体の側の条件を整えておくと、波を小さくできる可能性があります。
そして、ご自身の不調と天気の関係を記録することです。不調が出た日と天気をメモしておくと、「雨の前の日に出やすい」といったご自身のパターンが見えてきます。当院の検査でも、この記録は大切な材料になります。
先に医療機関で確認してほしいサイン
天気痛と思っていた症状の中に、急いで医療機関に行くべきものが紛れていることがあります。次のような場合は、施術より先に医療機関を受診してください。
今までに経験のない突然の激しい頭痛。ろれつが回らない、手足に力が入らない、顔がゆがむなどの症状を伴うもの。繰り返す嘔吐や、意識がぼんやりする状態。回転性の激しいめまいが続く、片方の耳の聞こえが急に悪くなった場合。これらは、脳や耳の病気が隠れている可能性があるためです。
当院でも、初回の問診とテストで「施術で対応してよい状態か」を必ず確認し、医療機関が先だと判断した場合は、施術をせずに受診をお勧めしています。
| 相談先 | 受け持つ領域 |
|---|---|
| 医療機関(脳神経内科・耳鼻科など) | 突然の激しい頭痛や聞こえの低下などの緊急のサイン/病気の診断/薬・漢方の処方 |
| 当院(接骨院・整体院) | 検査で確認できる体の状態の側——背骨のカーブ・首や背中の緊張・肋骨の動き——を整えること |
| ご自身のセルフケア | 耳まわりの血流を保つ工夫/雨の前の日の睡眠・姿勢・軽い運動/不調と天気の記録 |
天気痛に関するよくある質問
Q1. 天気痛は施術で治りますか?
A. 正直にお答えすると、「治ります」とは言えません。気圧という引き金は変えられないためです。当院ができるのは、引き金に負けやすくなっている体の状態を検査で確かめ、整えることです。「はっきり改善できます」と言い切れない領域だからこそ、できることとできないことを最初にご説明しています。
Q2. 雨の日ではなく、雨の前の日につらくなるのはなぜですか?
A. 気圧の低下は、実際に雨が降り出す前から始まっていることが多いためと考えられています。「降る前の日がいちばんつらい」という訴えは、気圧の変化への反応として筋が通るもので、気のせいではありません。
Q3. 病院に行くべきか、接骨院でよいのか迷います。
A. 経験のない激しい頭痛、手足の動かしにくさ、急な聞こえの低下などがある場合は、必ず医療機関が先です。そうした緊急のサインがなく、雨の前の頭の重さや肩首の緊張、めまい感が繰り返すタイプであれば、体の側の検査という選択肢があります。迷う場合のご相談もお受けしています。
Q4. 薬や予報アプリは使ってもよいですか?
A. 構いません。医療機関で処方される薬・漢方も、気圧の予報アプリも、有効な選択肢だと考えています。当院の施術は体の側を整えるもので、それらと並行していただけます。
Q5. どのくらい通えば変わりますか?
A. 体の状態によって大きく異なるため、一律の回数はお伝えしていません。初回の検査で状態をご説明したうえで、進め方の見通しを個別にお伝えしています。天気の波がある症状なので、変化は「波の高さと頻度がどう変わったか」で一緒に確認していきます。
Q6. 深谷市外からでも相談できますか?
A. はい。深谷市のほか、寄居町・熊谷市など近隣から来院される方もいらっしゃいます。
雨の前の不調と付き合っている方へ(深谷院より)
天気は変えられません。でも、天気の変化を受け止める体の状態は、検査で確かめて、整えていくことができます。「雨の前の日がつらい」という感覚を、気のせいだと片づけずに、一度体の側から見てみませんか。
▼この症状の専門ページ:頭痛について詳しくはこちら|深谷たいよう接骨院
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検査で異常なしと言われる不調へ|深谷市の接骨院が伝える自律神経の乱れとの向き合い方
著者:田島 陽平(たじま ようへい)
治療家・株式会社キュアクオリティ代表。柔道整復師として20年以上の臨床経験を持つ。整形外科・接骨院勤務を経て独立し、埼玉県深谷市・熊谷市で2院を経営。カイロプラクティック歴15年以上・オステオパシーを組み合わせた独自の施術スタイルで、坐骨神経痛・腰痛・肩こりなど慢性症状でお悩みの方のサポートを行っている。現在は国際基準のフランス式オステオパシーを学んでいる。
参考文献:気圧の低下がマウスの前庭神経核(バランス感覚にかかわる脳の領域)の活動を高めたという報告があります。
Lowering barometric pressure induces neuronal activation in the superior vestibular nucleus in mice(PLOS ONE, 2019)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断を行うものではありません。
症状が重い場合や長期間続く場合は、医療機関へのご相談をお勧めします。


