歩きはじめの一歩ではなく、食事のたびにズキッとくる顎の痛み——マウスピースを作って歯科に通っているのに、なかなか楽にならない。深谷市でそんなお悩みを抱えている方に読んでいただきたい内容です。当院には「食事のときに顎が痛い」「口が開きにくい」「歯医者さんに通っているけれど変化を感じにくい」という声で来られる方がいます。柔道整復師として20年以上、カイロプラクティック・オステオパシーを組み合わせて身体と向き合ってきた立場から、深谷たいよう接骨院・整体院が顎関節症をどう捉え、身体の土台から何をしているのかを、できるだけ正直にお伝えします。
顎関節症とはどんな状態か
顎関節症は、あごの関節や、そのまわりの筋肉に痛み・違和感が出る状態の総称です。代表的な症状は、口を開け閉めするときの痛み、口が指2〜3本分ほど開きにくい、開け閉めのときに「カクッ」と音が鳴る、噛むと痛む、といったものです。原因は一つに決まっているわけではなく、食いしばりや歯ぎしりのくせ、ストレス、噛み合わせ、そして姿勢など、複数の要因が重なって起きていることが多いとされています。
顎関節症の多くは、生活のくせを見直すことで時間をかけて和らいでいくと言われています。ある調査では、あごに違和感がある方の多くが一定期間のうちに症状が軽くなっていくと報告されています。ですから、まずは過度に不安にならず、ご自身の負担のかかり方を整えていくことが第一歩になります。
顎関節症にはいくつかのタイプがあります
ひとくちに顎関節症といっても、その中身は一つではありません。大きく分けると、あごを動かす筋肉の緊張が主体のタイプ、関節そのものや関節を包む組織に負担がかかっているタイプ、関節の中でクッションの役割をする「関節円盤」の位置がずれているタイプなどがあるとされています。
実際には、これらがはっきり分かれているとは限らず、いくつかが重なっていることも少なくありません。当院がお役に立ちやすいのは、とくに筋肉の緊張や、首・姿勢からの負担が関わっているタイプです。逆に、関節の中の構造的な問題が大きい場合は、歯科・口腔外科での検査や治療が中心になります。だからこそ、はじめに「今どの要素が大きいのか」を見きわめ、必要に応じて医療機関と役割を分けることを大切にしています。あごの不調が長く続くときほど、一つの原因に決めつけず、身体全体から見直していく視点が役に立つことがあります。
なぜマウスピースだけでは楽にならないことがあるのか
顎関節症でまず選ばれることが多いのが、歯科・口腔外科でのマウスピース(スプリント)です。これは「噛む力による負担そのものを減らす」ためのもので、とても大切な役割があります。当院はマウスピースを否定するものではありません。
ただ、マウスピースを続けても変化を感じにくい方がいるのも事実です。その背景の一つとして考えられるのが、「負担をかけている側の身体」が整っていないケースです。あごの筋肉は、首や姿勢とつながって働いています。首が前に出た姿勢が続くと、あごを引き上げる筋肉やこめかみ・頬の筋肉に緊張が生まれやすく、それがあごへの負担として積み重なることがあります。
海外の研究でも、手技療法(マニュアルセラピー)とマウスピースを組み合わせた併用ケアが、痛みや不安の軽減において良い結果を示したという報告があります。また、筋肉が主体のタイプの顎の不調では、手技によるアプローチが顎の動きや開口のしやすさの面で役立つ可能性が示唆されています(本記事末尾の参考文献をご覧ください)。つまり、マウスピースが「負担を減らす」側の対策だとすれば、身体の土台を整えることは「負担に負けにくい状態をつくる」側の対策です。この二つは競合するものではなく、役割が違います。当院が大切にしているのは、この「どちらか」ではなく「組み合わせ」という考え方です。
顎関節症と姿勢・身体の土台の関係
前かがみで首が前に出た姿勢(前方頭位)と顎関節症との関連については、これまで多くの研究で報告されてきました。デスクワークやスマートフォンの使用時間が長い方に、あごの不調が重なりやすいという声も、臨床の現場ではよく聞かれます。
ただ、ここは正直にお伝えします。「姿勢が崩れる→必ず顎関節症になる」と単純に断定できるわけではありません。実際、姿勢と顎の関連を検討した研究をまとめた総説では、「関連を示す報告はあるものの、研究の質にばらつきがあり、はっきりとした結論を出すにはより質の高い研究が必要」とされています。つまり、関連は示唆されているけれど確立はしていない、というのが今の正直なところです。当院は、この関連を「一つの見方」として施術に取り入れており、身体全体のバランスを整えることが、あごの負担を軽くする助けになることがあると考えています。断定はしませんが、無視もしない——その中間の姿勢で向き合っています。
顎の不調とあわせて、首のこりや姿勢のつらさを感じている方は、深谷市で首の痛み・姿勢の負担にどう向き合っているかをまとめた「首の痛み・寝違え・頭痛」のページもあわせてご覧ください。
こんなときは歯科・医療機関への相談も
当院は身体の土台からのアプローチを行いますが、すべてを接骨院だけで完結させることが良いとは考えていません。次のような場合は、歯科・口腔外科など医療機関への相談も大切です。判断に迷うときは、当院からも受診をおすすめすることがあります。
医療機関への相談を優先したいサインと、身体の土台からのアプローチが選択肢に入る場合を、目安として整理します。
歯科・口腔外科への相談を優先したい目安 身体の土台からのアプローチが選択肢になる場合 口がほとんど開かない・急に開かなくなった 慢性的なこわばりが続いている 強い痛みが続いている 首・肩のこりと一緒に顎の重さを感じる 噛み合わせが急に大きく変わった マウスピースだけでは物足りなさを感じる 顔の腫れや発熱をともなう デスクワークなどで姿勢の崩れが気になる
| 歯科・口腔外科への相談を優先したい目安 | 身体の土台からのアプローチが選択肢になる場合 |
|---|---|
| 口がほとんど開かない・急に開かなくなった | 慢性的なこわばりが続いている |
| 強い痛みが続いている | 首・肩のこりと一緒に顎の重さを感じる |
| 噛み合わせが急に大きく変わった | マウスピースだけでは物足りなさを感じる |
| 顔の腫れや発熱をともなう | デスクワークなどで姿勢の崩れが気になる |
上記は身体の状態を見分けるための一般的な目安です。判断に迷うときは、当院からも医療機関の受診をおすすめすることがあります。
症例紹介:マウスピースを一年続けても変化が乏しかった六十代の方
六十代の女性の方が、別の症状の施術と並行して「噛むと顎が痛い」とご相談くださいました。マウスピースを作り、一年ほど口腔外科に通われていましたが、思うような変化を感じにくいとのことでした。
当院では、あごの動きの確認に加えて、筋肉の反応を通じて身体の状態を診る検査を用い、あごまわりの筋肉(こめかみ・頬・あごの内側の筋肉など)や、頭の骨・首・姿勢の状態を確認しながら施術を行いました。月に一度ほどの施術を続ける中で、痛みがほとんど出ない状態を保てるようになっていきました。
一方でこの方は、施術だけでマウスピースを外すと痛みが戻ってしまうため、マウスピースと施術の併用を続けています。これは「どちらかが不要」なのではなく、負担を減らすことと、負担に負けにくい身体をつくることの両輪が必要だった、ということだと当院は考えています。
症例紹介:歯科治療でも食事が辛かった五十代の方
五十代の女性の方は、歯科でのマウスピース治療を続けても改善を感じにくく、食事のときの痛みが辛い状態で来院されました。ご本人も当院も、はじめは関節の中の構造的な問題を心配していましたが、経過をみていくと、機能的な負担が主体だったのではないかと考えられました。
当院では、背骨や骨盤といった身体の土台を整えることを重点に置きつつ、あごまわりの筋肉のつながりや、頭の骨への調整という考え方に基づいたアプローチを行いました。数回の施術を経て、食事のときの痛みがかなり和らいでいきました。もちろん回復のペースには個人差がありますが、「あごの問題を、あごだけの問題として診ない」ことの一例としてお伝えしています。
当院が顎関節症に対して行っていること
当院のアプローチは、大きく三つの視点で組み立てています。一つ目は、身体の土台である背骨・骨盤を整えること。二つ目は、あごに直接関わる筋肉(咀嚼筋・側頭筋など)や、首から続く筋肉のつながりを調整すること。三つ目は、頭の骨や姿勢のバランスへのアプローチです。
なお、頭の骨に対する調整については、その効果が科学的に確立されていると断定できるものではありません。当院は、あくまで「身体全体のつながりを整える」という考え方に基づいて取り入れています。強い刺激で無理に動かすようなことはせず、身体への負担が少ない方法を選んでいます。
ご自宅でできるセルフケア
施術と合わせて、日常のくせを見直すことが顎関節症ではとても大切です。無理のない範囲で、次のことを意識してみてください。
一つ目は、あごを温めること。蒸しタオルなどでこめかみから頬のあたりを温めると、筋肉がゆるみやすくなります。二つ目は、こめかみや頬の筋肉を、指の腹でやさしくほぐすこと。強く押しすぎないのがポイントです。三つ目は、食事のときに片側ばかりで噛まないようにすること。四つ目は、日中の食いしばりに気づいたら、上下の歯を軽く離す習慣をつけること。歯は本来、何もしていないときは触れていないのが自然な状態です。そして、痛みが強いときは大きく口を開ける動きを控え、あごを休ませてあげてください。
マウスピースと施術の関係について、当院が正直に伝えていること
顎関節症のご相談では、「すべてをゼロにしてほしい」「マウスピースはもう使いたくない」というお気持ちを伺うことがあります。そのお気持ちはとてもよくわかります。
ただ当院は、そこで安易に「必ず良くなります」とはお伝えしません。実際に、マウスピースと施術の併用が必要な方もいらっしゃいます。負担そのものが大きい場合は、その負担を減らす道具(マウスピース)と、負担に負けにくい身体づくり(施術)の両方が必要になることがあるからです。できることと、正直にお伝えしておきたいことの線引きを大切にする——それが当院の姿勢です。
よくある質問
Q1. 顎関節症は接骨院でみてもらえるのですか?
A. あごまわりの筋肉や、首・姿勢といった身体のバランスの面から関わることができます。ただし、歯の噛み合わせそのものの調整や、マウスピースの作製は歯科・口腔外科の領域です。役割を分けて、必要に応じて連携する形が望ましいと当院は考えています。
Q2. 歯医者に通っているのですが、一緒に受けても大丈夫ですか?
A. はい、併用されている方は多くいらっしゃいます。マウスピースで負担を減らしながら、身体の土台を整えていくという組み合わせは、むしろ相性が良い場合があります。
Q3. どれくらいで変化を感じられますか?
A. 個人差がとても大きく、一概には言えません。数回で楽になったと感じる方もいれば、生活のくせの見直しを含めて時間をかけて整えていく方もいます。無理に回数を約束することはしていません。
Q4. 口を開けるとカクッと音が鳴りますが、施術は必要ですか?
A. 音だけで痛みや開けにくさがない場合は、必ずしもすぐに施術が必要とは限りません。ただ、音に加えて痛み・開けにくさ・噛みにくさがある場合は、一度ご相談いただくと安心です。
Q5. 痛いときに顎を動かす体操はしたほうがいいですか?
A. 痛みが強い時期に無理に大きく動かすのはおすすめしません。まずはあごを休ませ、温めることを優先してください。動かす運動は、痛みが落ち着いてから、無理のない範囲で行うのが安全です。
Q6. 食いしばりのくせはどうすれば減らせますか?
A. まずは「気づくこと」が第一歩です。日中、上下の歯が触れていることに気づいたら、そっと離す。パソコンや作業に集中する場面で起こりやすいので、目に入る場所に小さなメモを貼っておくのも一つの方法です。
Q7. ストレスも関係しますか?
A. 関係していることがあると言われています。緊張状態が続くと、無意識の食いしばりが増えやすくなります。睡眠や休息を整えることも、あごの負担を減らす助けになります。
Q8. 深谷院ではどんな流れで進みますか?
A. まずお話を伺い、あごの動きや身体全体のバランスを確認したうえで、その方に合わせた施術を組み立てます。気になることがあれば、来院前でも公式LINEからお気軽にご相談ください。
深谷市で顎関節症にお悩みの方へ
顎関節症は、あごだけの問題として捉えると、なかなか出口が見えにくいことがあります。当院は、身体の土台・首・姿勢まで含めて全体をみることで、あごにかかる負担そのものを軽くしていくお手伝いができればと考えています。マウスピースを続けても変化を感じにくい方も、どうか一人で抱え込まないでください。
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著者:田島 陽平(たじま ようへい)/治療家・株式会社キュアクオリティ代表。柔道整復師として20年以上の臨床経験を持つ。整形外科・接骨院勤務を経て独立し、埼玉県深谷市・熊谷市で2院を経営。カイロプラクティック歴15年以上・オステオパシーを組み合わせた独自の施術スタイルで、坐骨神経痛・腰痛・肩こりなど慢性症状でお悩みの方のサポートを行っている。現在は国際基準のフランス式オステオパシーを学んでいる。
参考文献(PubMedで実在を確認しています)
・Manual Therapy Techniques Versus Occlusal Splint Therapy for Temporomandibular Disorders: A Systematic Review with Meta-Analysis(顎関節症に対する手技療法とスプリント療法を比較したシステマティックレビュー・メタ分析)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11593169/
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為や診断を行うものではありません。
症状が重い場合や長期間続く場合は、医療機関へのご相談をお勧めします。


